第37回【築40年の実家、そのまま売る?解体して更地にする?失敗しない売却プランの選び方】

 

「はじめての不動産売買に、明るく朗らかな未来を」 株式会社明朗の千場智樹(せんば ともき)です。

 

今回は、ご両親などから相続で取得した「築40年程度が経過している中古戸建て」を売却する際、どのような手順や選択肢で売り出しを進めていくのが良いのかについて、分かりやすくお話しさせていただきたいと思います。

不動産のご相談を受ける中で、お客様から特に多くいただくのが「築40年も経っている家が、そのままの状態で売れるものなのだろうか」「売りに出す前に、お金をかけて建物を解体し、更地にする必要があるのだろうか」という疑問やご不安の声です。

 

建築時期が最初の分岐点

 

結論から申し上げますと、「戸建て」として売りに出すのか、あるいは「売地」として売りに出すのかという判断は、まず第一に「その建物が昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたものかどうか」という建築時期によって大きく変わってきます。

(※建物の正確な建築年月日は、建物の登記簿謄本等でご確認いただくことが可能です。)

仮に、相続によって取得された戸建てが「昭和56年5月31日以前」に建てられたもの(旧耐震基準の建物)である場合、大きな節税のチャンスがあります。

通常、不動産の売却時には譲渡所得税というものが発生しますが、売主様または買主様が一定の要件のもとで建物を解体するなどして売却すると、売主様は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」として、最大3,000万円の特別控除の適用を受けられる可能性があります。(※解体のほかにも適用条件がございます)

そのため、旧耐震基準に該当する物件の売却においては、税制上のメリットを考慮して「売地」としての売り出しを選択することが一般的です。

 

一方で、建物が「昭和56年6月1日以降」に建てられたもの(新耐震基準の建物)である場合には、建物を解体したとしても上記の3,000万円特別控除の対象とはなりません。

この場合は、戸建てのまま売りに出すか、それとも解体して売地として売りに出すかは、売主様のご事情や方針に合わせて自由に判断していくことになります。

 

更地にして売る場合のメリットと手元の資金リスク

 

そこで重要になってくるのが、冒頭でもご紹介した「戸建てのまま売るべきか、解体して売地として売るべきか」という具体的な売り出し方法の選択です。

 

もし「売地」として売りに出すのであれば、前もって建物を解体して綺麗な更地に整えた方が、現地を見た時の見栄えや第一印象が格段に良くなります。

建物が残っている状態に比べて、買主様が購入後の建築イメージを持ちやすくなるため、早期に売却が決まりやすいという大きなメリットがあります。

しかし、その一方で注意が必要な点もあります。

売れる確率やスピードが高まるメリットはあるものの、実際に売却代金が入ってくる前の段階で、事前に解体費用(一般的には200万円前後)を売主様ご自身で準備し、お支払いいただく必要が出てきます。

また、たとえ築40年が経過している戸建てであっても、建物の状態や管理が行き届いていれば、「古民家風にリフォームしたい」「リノベーションの為の物件を探している」といった購入希望者様から、中古戸建てとして買い手が付く可能性も残されているため、その機会を損失する恐れがあります

 

専門家がおすすめする「売地(上物有り)・解体応相談」とは?

 

そうしたメリット・デメリットや費用の負担リスクを総合的に考慮した上で、私がお客様へよくご提案させていただいているのが、「売地(上物有り)として売り出し、解体は応相談とする」という方法です。

 

この手法のメリットは、事前に建物を壊さずに売り出しをスタートするため、リフォーム目的で中古戸建てを探しているお客様もターゲット層に含めることができる点です。

さらに、売却が決まる前に無理をして解体費用(200万円前後)を用意する必要もありません。

 

ただし、デメリットとしては、あらかじめ更地になっている物件と比べると、見栄えや購入後のイメージの湧きやすさという点でやや劣るため、売買成立までに少し時間がかかる傾向があるという点が挙げられます。

 

解体時期と「固定資産税」の落とし穴

 

なお、現存している建物の傷みが非常に激しく、住居としての再利用が明らかに難しい場合で、かつ事前に解体費用を準備・お支払いいただくことに問題がない場合には、最初から「建物を解体して更地での売り出し」を行うことをおすすめしております。

理由は先述の通り、土地としての見栄えや好印象を与えることができ、建物がある状態よりも圧倒的に売れやすくなるからです。

 

ただし、ここで1点、非常に重要な注意事項があります。

それは、建物が無い状態で年(1月1日)をまたぐと、土地の固定資産税が大幅に高くなってしまうという点です。

土地の上に建物が建っている場合、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」という税制上の優遇措置が適用されており、税金が大幅に軽減されています。

しかし、建物を壊して更地にしてしまうとこの特例が適用されなくなってしまい、固定資産税の負担が約6倍ほどに跳ね上がってしまうことがあります。(※都市計画税も高くなります)

そのため、年末が近い時期に建物の解体や売り出しを開始する場合には、「年内に売却(引き渡し)まで完了できるかどうか」の見極めが極めて重要になってきます。

 

資金や時期に応じた「解体更地渡し条件」という裏ワザ

 

したがって、売り出しを開始するタイミングが年末近くである場合や、「建物の再利用は難しいけれど、事前に解体費用を準備するのは厳しい」という場合には、「売地(上物有り)、解体更地渡し条件」として売りに出すという選択肢も有効です。

この条件で売り出せば、売り出し開始後に年をまたいでからじっくり建物を解体するといったスケジュール調整が可能です。

また、購入希望者様と売買契約を結んだ後、引き渡しの直前に建物を解体する手順をとることで、買主様から支払われる売買代金の一部をそのまま解体費用に充当させるという安心な方法をとることも可能になります。

 

まとめ:自己判断せず、まずはプロへご相談を

 

このように、「築40年程度の戸建ての売却」と言っても、対象となる建物の建築年(旧耐震か新耐震か)や保存状態、売主様のご資金状況、売却を行う時期などによって、選択すべき最適なアプローチや取り得る選択肢は大きく変化してきます。

 

もし実際に、築年数の経った戸建てや不動産を相続・売却するような場面に直面されましたら、どうか今回のコラムの内容だけで自己判断なさらず、まずは不動産売買のプロである不動産会社へお気軽にご相談ください。

「不動産売買について悩まれている皆様の将来を、明るく朗らかなものへと変えていく」そのためのお手伝いを、心を込めて全力で承ります。

いつでもご遠慮なくお声がけください。

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