第36回【地震が起きたとき・起きたあとに役立つ「お金と住まい」の安心ガイド】
「はじめての不動産売買に、明るく朗らかな未来を」 株式会社明朗の千場智樹です。
令和8年7月28日に発生した地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
被災地域の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
大きな地震が発生した直後は、誰もが強い不安や混乱の中に置かれます。
そのような状況の中で、ご自身やご家族の生活、そして大切な「住まい」を守り、一日も早く落ち着いた暮らしを取り戻すためには、公的な支援制度や適切な手続きについての正しい知識を持ち、速やかに行動することが極めて重要です。
本コラムでは、被災された直後から必要となる手続き、住宅やお金に関する公的支援制度、さらに将来の災害に備えて今日から実践できる具体的な準備について、わかりやすく解説いたします。
目次
被災したら、まず「り災証明書(りさいしょうめいしょ)」を申請しよう
地震によって自宅や所有している建物、家具・家電などの家財が被害を受けた際、すべての支援手続きの起点となるのが「り災証明書」の申請です。
「り災証明書」とは?
自治体の職員や専門の調査員が被災した建物の現地調査を行い、被害の程度を公式に判定・証明する公的書類です。
判定区分は、主に損害割合に応じて、一部損壊から全壊まで6段階あります。

なぜ「り災証明書」が必要なのか?
この証明書は、災害後に利用できる多様な公的支援を受けるための証明書となります。
・国の「被災者生活再建支援金」などの給付金を申請するとき
・応急仮設住宅へ入居するとき
・地方税、国税、社会保険料、公共料金の免除や猶予を受けるとき
・金融機関へのローン返済猶予や融資を申し込むとき
被害が発生した場合は、速やかに申請手続きを行いましょう。
申請の方法
お住まいの市役所・町役場の窓口で申請します。
自治体によっては、郵送やオンラインでの受付に対応している場合もあります。
片付ける前に!「被害写真を正しく撮る」大切な理由
室内が散乱したり、建物が損壊したりしていると、「一刻も早く片付けて元通りにしたい」と考えがちです。
しかし、壊れた箇所を片付けたり修理したりする前に、必ず被害状況を写真に記録することが極めて重要です。

写真の撮影が必要な理由
行政の調査員が被害調査に訪問するまでには、一定の時間がかかることがあります。
調査の前に片付けや修理を済ませてしまうと、調査員が正確な被害規模を確認できず、本来受けるべき判定や支援が受けられなくなるおそれがあります。
また、加入している地震保険の損害査定や保険金請求を行う際にも、写真は客観的な証拠として活用されます。
被害写真を残す際のポイント
撮影はスマートフォンやデジカメで問題ありません。
以下の点を意識して記録を残しましょう。
①建物の全景を撮影する
建物の東西南北から、建物全体が収まるように全景を撮影します。
浸水被害を受けた場合は、浸水の高さがわかるよう、壁に残った水跡に定規やペットボトルなどを当てて撮影します。
②被害箇所を拡大して撮影する
壁のひび割れ、屋根瓦のズレ、柱の傾き、基礎の破損など、被害を受けた部分を近くから撮影します。
③部屋ごとの室内被害を撮影する
各部屋の全体像を撮影した上で、転倒した家具、破損した家電製品、割れた窓ガラスなどを個別に撮影します。
④データを安全に保管する
端末の紛失や故障に備え、クラウドストレージ(インターネット上の保存領域)に保存するか、ご家族間で共有しておきましょう。
住まいとお金に困ったときの「4つの公的支援制度」
地震によって住まいを失ったり、生活の維持が困難になったりした場合、以下のような国の公的支援制度が用意されています。
① 被災者生活再建支援制度
対象となる市町村全体で、法適用となる被害規模(全壊10世帯以上など)に達していれば、住宅が「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」などの甚大な被害を受けた世帯に対し、生活再建のための支援金が支給される制度です。
基礎支援金: 住宅の被害程度に応じて支給(全壊:100万円、大規模半壊:50万円など)。
加算支援金: 住宅の再建方法(建設・購入、補修、賃貸住宅の選択)に応じて支給(最大200万円)。
これらを組み合わせることで、最大300万円の支援金が支給されます。
② 住宅の応急修理制度
自宅が「半壊」以上の被害を受け、そのままでは居住不能であるものの、応急的な修理を施すことで居住可能となる場合に利用できる制度です。
・自治体が修理業者へ直接費用を支払う仕組み(上限額あり)であるため、被災者が一時的なまとまった自己負担をしなくて済みます。
・屋根、ドア、窓、配管、トイレなど、生活に不可欠な基本部分の修理が対象となります。

③ 応急仮設住宅の提供
自宅の倒壊等により住む場所を失った方へ対し、自治体が一時的な住まいを無償、または少ない費用で提供する制度です。
建設型仮設住宅: 公有地等に建設されるプレハブ構造等の住宅。
民間賃貸住宅の借り上げ(みなし仮設): 自治体が民間の賃貸アパートやマンションを借り上げ、被災者へ提供する仕組みです。住み慣れた地域近隣で生活を維持しやすいメリットがあります。
④ 自然災害返済特例(個人債務整理ガイドライン)
被災により住宅を失ったにもかかわらず、住宅ローンだけが残ってしまう「二重ローン問題」を解決するための制度です。
・一定の要件を満たすことで、住宅ローン等の債務の免除や減額手続きを受けることができます。
・破産手続きとは異なり、信用情報機関(ブラックリスト)に登録されないため、その後の生活再建(クレジットカードの作成や新たな借入)に悪影響を及ぼしにくい特徴があります。
これからの地震に備えて「今日からできる3つの準備」
今後起こりうる地震災害に対して、平常時から取り組んでおくべき基本的な防災対策です。
① 家具・家電の固定と配置の最適化
地震時のケガや逃げ遅れの多くは、家具の転倒や家電の落下・移動によって発生します。
固定措置: 大型家具や家電製品は、L字金具、耐震ストッパー、突っ張り棒等を組み合わせてしっかりと固定します。
配置の工夫: 就寝場所(ベッドや布団)の周辺には、転倒のおそれがある背の高い家具を配置しないよう見直します。
② 非常用持ち出し袋と備蓄品の確保
災害発生直後は、ライフラインの停止や流通の混乱が予想されます。
・最低3日分(推奨1週間分)の水(1人1日3リットルが目安)および保存食(レトルト食品、缶詰等)を備蓄します。
・衛生用品(簡易トイレ、トイレットペーパー)、モバイルバッテリー、懐中電灯、常備薬も必須項目です。

③ 避難場所および連絡手段の事前共有
災害時は携帯電話回線が不通・混雑することが多くなります。
集合場所の設定: 万が一離れ離れの状態で被災した場合に備え、避難する場所や再会場所をご家族で決めておきます。
伝言サービスの活用: 「災害用伝言ダイヤル(171)」や「Web171」の利用手順を事前確認し、日常的に体験利用日などを活用して慣れておくことが推奨されます。
一人で抱え込まずに相談を
自然災害は、私たちの日常や生活基盤に甚大な影響を及ぼします。
しかし、正確な情報を把握し、適切な公的支援や制度を活用することで、生活の再建へ着実に向かっていくことができます。
被災後は、片付けや各種申請手続き、住まいの確保など多くの判断が求められ、精神的・肉体的な負担が大きくなりがちです。
困りごとや不明な点が生じた際は、ご自身だけで抱え込まず、自治体の相談窓口、弁護士・司法書士などの専門機関、そして地元の不動産業者へご相談ください。
私ども株式会社明朗も、「明るく、朗らかに」という理念のもと、地域の皆様が安心して暮らせる環境を取り戻せるよう、住まいと暮らしのサポートに尽力してまいります。