第35回【知れば家づくりが変わる「断熱材」の本当の役割と選び方】

 

「はじめての不動産売買に、明るく朗らかな未来を」 株式会社明朗の千場智樹です。

 

マイホームの購入やリフォームを検討するとき、必ず耳にする「断熱材(だんねつざい)」という言葉。

「なんとなく、木造の家を冬の寒さから守るために壁の中に入れる綿みたいなものでしょ?」と思っていませんか?

実は、その認識だけではもったいないのです!

 

断熱材は、ただ冬の寒さを防ぐためだけのアイテムではありません。

私たちの暮らしの快適性、健康、そしてお財布事情までをも劇的に変えてくれる「住まいの魔法瓶」のような存在です。

今回は、「断熱材ってそんな役割があったんだ!勉強になった!」と納得していただけるよう、その驚きの働きや種類、選び方について、どこよりもわかりやすく解説します!

 

そもそも、なぜ断熱材が必要なの?

 

私たちは毎日、心地よく暮らしたいと願っています。

その「心地よさ」に影響するのが室内の温度です。

もし家に断熱材が入っていなかったらどうなるでしょうか。

 

外の気温がダイレクトに壁や床、天井を伝わって室内に侵入してきます。

冬は暖房をつけてもつけても足元から冷え込み、夏はエアコンをフル稼働させても、まるでサウナの中にいるような熱気がこもってしまいます。

断熱材の最も重要な役割は、「外の気温の影響をシャットアウトし、室内の快適な温度を外に逃がさないこと」にあります。

 

実は「寒さ」だけでなく「暑さ」も防ぐ!

 

「断熱材」の働きは「冬の寒さを防ぐ」だけではありません。

「夏の強烈な太陽熱を防ぐ」効果も備えています。

冬の働き(保温効果)

室内の暖房の熱が、冷たい外気に奪われるのを防ぎます。

 

夏の働き(遮熱・防熱効果)

太陽光で熱せられた屋根や外壁からの熱が、室内に侵入するのを防ぎます。

 

断熱材がしっかり効いている家は、夏は冷房が、冬は暖房が「最小限のパワーで、すぐ効く」ようになります。

つまり、光熱費の大幅な削減(省エネ)にも直結しているのです。

 

どの様な構造の建物でも断熱材は必要なの?

 

「木造住宅は寒そうだから断熱材が必要だけど、コンクリート(RC)造や鉄骨造のマンションなら、頑丈だし断熱材はいらないのでは?」

そう思われる方も少なくありません。

しかし、結論から言うと、どのような構造の建物であっても、断熱材は絶対に必要です。

コンクリートや鉄は、実は木材に比べて「熱を伝えやすい(温まりやすく、冷めやすい)」という性質を持っています。

特にコンクリートは熱を蓄える性質があるため、断熱材のないコンクリートの建物は、夏は昼間の太陽熱をたっぷり吸い込んで夜になっても部屋が熱いままです。

逆に冬は、コンクリート自体がキンキンに冷えて、室内を氷の部屋のように冷やしてしまいます。

どのような工法であれ、人が快適に暮らすためには、構造体の内側(または外側)にしっかりと断熱材を施す必要があるのです。

 

断熱材の「素材」にはどんな種類がある?

ひと言で「断熱材」と言っても、スーパーの食品トレイのようなものから、ふわふわの綿のようなものまで、たくさんの種類があります。

これらは大きく分けると「繊維系」「天然素材系」、そして「プラスチック系」の3つに分類されます。

 

1.繊維系(せんいけい)

ガラスや鉱物を細い繊維状にし、空気をたっぷり含ませた、最もポピュラーなグループです。

 

グラスウール

ガラスを再利用して作った、最も普及している断熱材。コストパフォーマンスに優れ、燃えにくいのが特徴です。

 

ロックウール

鉱物を原料とした断熱材。グラスウール同様に火に強く、防音性にも優れています。

2.天然素材系(てんねんそざいけい)

自然の力を生かした、人にも環境にも優しいグループです。

 

セルロースファイバー

回収された新聞紙などを防燃処理して作ったもの。調湿性(湿気を吸ったり吐いたりする機能)が極めて高く、結露を防ぐ効果があります。

 

羊毛(ウール)断熱材

衣類に使われるウールを用いたもの。調湿性や耐久性に優れています。

 

3.プラスチック(発泡樹脂)系

プラスチックの中に無数の細かい気泡(空気の部屋)を閉じ込めたグループです。水に強く、薄くても高い断熱性を発揮します。

 

硬質ウレタンフォーム

現場でシューッと吹き付けて発泡させるタイプが多く、隙間なく密着するのが強みです。

 

ポリスチレンフォーム

板状の断熱材(よく見る水色やピンクのボード)。湿気や水に非常に強いため、床下や基礎部分によく使われます。

 

断熱材が必要な「箇所」とその理由

家を魔法瓶にするためには、どこか一箇所だけを厚くしても意味がありません。

家全体を「すき間なく」包み込む必要があります。特に重要なのは以下の3つの箇所です。

 

① 天井・屋根

「夏の熱気」をブロックする最前線です。

太陽の直射日光をまともに受ける屋根は、夏場には約60℃~80℃もの高温に達します。

ここをしっかり断熱しないと、その熱気がそのまま天井を抜けて2階の部屋に伝わり、室内が恐ろしいサウナ状態になってしまいます。

 

② 外壁(壁の中)

最も面積が広く、常に外気の影響にさらされる場所です。

四方の壁から熱が逃げたり入ったりするのを抑えることで、家全体の室温をどこでも一定に保つことができます。

ここの断熱が不十分だと、冬場に暖房をつけていても「なんだか壁際に行くとヒヤッとする」という不快な現象が起きてしまいます。

③ 床下・基礎

「冬の足元の冷え」をシャットアウトする場所です。

冷たい空気は性質上、下へ下へと溜まります。

床下にしっかり断熱材を入れないと、せっかく暖房で部屋の上部を暖めても、床から伝わる冷気のせいで「足元だけがずっと氷のように冷たい」という状態になり、体感温度がグッと下がってしまいます。

 

断熱材の「厚さ」ってどれくらい重要なの?

 

よく「断熱材は厚ければ厚いほど良い」と言われますが、これは半分正解で、半分は言葉が足りません。

断熱材の性能は、「素材ごとの熱の通しにくさ(熱伝導率)」 「厚さ」で決まります。

例えば、少し性能の低い(熱を通しやすい)断熱材であっても、2倍の厚みを持たせて施工すれば、性能の高い薄い断熱材と同等、あるいはそれ以上の効果を発揮します。

逆に、どんなに高性能で高価な断熱材を使っていても、施工時にぎゅうぎゅうに押し潰されて薄くなってしまったり、隙間が空いてしまったりしては、その実力を発揮できません。

大切なのは、「エリア(雪国なのか、比較的暖かい地域なのか)」に合わせ、「適切な素材を、設計に基づいた正しい厚みで、隙間なくきれいに施工すること」なのです。

 

断熱材は「家族の健康」と「お財布」を守るサポーター

 

いかがでしたでしょうか? 「寒さを防ぐ木造のアイテム」だと思っていた断熱材が、実は以下のような大活躍をしていることがお分かりいただけたかと思います。

 

・夏も冬も年中快適にする「年中無休のサポーター」であること。

・木造だけでなく、鉄骨もコンクリートもすべての建物に必須であること。

・冷暖房効率をアップさせ、毎月の電気代を劇的に安くしてくれること。

 

これから家づくりやリフォームをされる方は、ぜひ「壁の中の見えない主役」である断熱材に、少しだけこだわってみてください。

そのこだわりは、これから何十年と続く暮らしの快適さとして、明るく朗らかな未来へとつながっていくことでしょう。

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