第34回【内水氾濫ハザードマップがウェブ公開に!熊本市での安心な不動産売買のために知っておきたい水害リスク】

 

「はじめての不動産売買に、明るく朗らかな未来を」 株式会社明朗の千場智樹です。

 

私たちが暮らす熊本市は、豊かな地下水や美しい白川、江津湖など、自然の恵みに溢れた素晴らしい街です。

しかしその一方で、近年は地球温暖化の影響もあり、全国各地でこれまでにない規模の豪雨災害が頻発しています。

ここ熊本でも、毎年のように「出水期(梅雨や台風の時期)」を迎えると、大雨への警戒が欠かせなくなりました。

不動産を購入・売却する際、多くの方が気にされるのが「その土地の水害リスク」です。

これまで、熊本市が提供するハザードマップでは、「洪水(河川の氾濫)」「高潮」「津波」「土砂災害」といった災害については詳細なマップが整備され、インターネット上で誰でも簡単に閲覧できるようになっていました。

しかし実は、もう一つの大きな水害リスクである「内水(ないすい)」に関しては、これまで独立したハザードマップとしての整備が遅れていました。

 

今回は、熊本市が「出水期の備えに活用してほしい」という強い思いから新たにウェブ公開した「内水氾濫ハザードマップ」について、その背景や具体的な内容、そして不動産売買においてなぜこの情報が命取りになるほど重要なのかを、プロの視点から分かりやすく解説します。

 

そもそも「内水氾濫」とは?洪水との違いを復習

 

まず、「内水氾濫」という言葉に聞き馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。

実はこの内水氾濫については、第32回のコラムで詳しくご紹介させていただいた「雨水出水(うすいしゅっすい)浸水想定区域図」というものがありました。

水害には大きく分けて2つのパターンがあります。

 

外水氾濫(一般的な洪水)

川の水位が上がり、堤防を越えたり堤防が壊れたりして街に水が流れ込んでくること。

 

内水氾濫(雨水出水)

下水道や水路の排水能力を超える大雨が降り、降った雨を排出しきれずに、街の中(道路や住宅地)に水が溢れてしまうこと。

つまり、近くに大きな川がなくても、短時間に猛烈な雨が降れば、どんな場所でも発生する可能性があるのが「内水氾濫」の恐ろしさです。

これまでの熊本市には、この内水氾濫に特化した分かりやすいハザードマップがありませんでした。

しかし、近年の異常気象や、昨年(2025年)8月に熊本市を襲った記録的な大雨による浸水被害を受けて、市は「雨水出水浸水想定区域図」を大幅に見直し、誰もが直感的にリスクを理解できる新しいハザードマップとして公開したのです。

 

新しい「内水氾濫ハザードマップ」の特徴と想定規模

 

今回公開された新しいマップは、熊本市の下水道計画区域内を対象としています。

想定されている雨の量は、なんと「九州北西部地区で最大規模となる1時間あたり153ミリ」の猛烈な降雨です。

これは、過去の統計やデータから弾き出された「想定し得る最大規模の大雨」であり、「これだけの雨が降ったら、街のどこに、どれだけの水が溜まるのか」をシミュレーションしたものです。

 

今回のマップの最大のメリットは、「浸水の範囲」だけでなく「浸水の深さ」「避難の緊急度」が、色分けによって一目で分かるようになった点にあります。

 

① 5段階の色分けで伝える「浸水の深さ」

 

マップでは、浸水リスクがどれくらい高いかを以下の5段階などの色分けで表現しています。

「1メートル以上」

「0.45メートル以上1メートル未満」 など

1メートル以上の浸水となると、大人の腰から胸の高さまで水が来ることになり、避難が極めて困難になります。

床下浸水どころか、1階の床上まで完全に水に浸かってしまう深さです。

② 「早期の立退き避難が必要な区域」の可視化

 

今回の見直しでは、ただ水が溜まる場所を示すだけでなく、命を守るための行動に直結する区域として、「早期の立退き避難が必要な区域」が設定されました。

これはさらに以下の2種類に色分けされています。

 

家屋倒壊等氾濫想定区域(河岸侵食)

川の激しい流れによって岸が削られ、家ごと崩れ落ちる危険性がある区域。

 

家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)

勢いの強い水の流れによって、建物が押し流されたり倒壊したりする危険性がある区域。

 

これらの区域に指定されている場所にいる場合は、雨が強くなる前に「その場所から立ち退く(立ち退き避難)」、つまり別の安全な場所へ早期に避難することが強く求められます。

 

熊本市内で「1メートル以上の浸水」が想定される具体的なエリア

 

では、具体的に熊本市内のどのエリアに高いリスクが想定されているのでしょうか。

(熊本市HP:https://hazard.kumamoto-city.jp/

今回のマップを紐解くと、過去に記録的な大雨で浸水被害が目立った場所が顕著に現れています。

特に1メートル以上の浸水が想定されている主な区域は以下の通りです。

中心市街地(坪井川沿い・市役所周辺)

熊本市の中心部であり、オフィスや商業施設が密集するエリアですが、坪井川沿いは地形的にも水が溜まりやすい特徴があります。

 

坪井地区・八景水谷(はけみや)地区

こちらも過去の水害の記憶が新しい地域ですが、やはり最大規模の降雨では深い浸水が想定されています。

 

JR上熊本駅周辺(井芹川左岸)

近年の再開発で人気の高まる上熊本エリアですが、井芹川の近くは内水氾濫のリスクが非常に高いことがデータとして示されました。

 

白川や江津湖の周辺

熊本を象徴する美しい水辺エリアも、一定程度の浸水が想定されています。

 

これらの地域にお住まいの方、あるいはこれからこのエリアで不動産の購入・売却を検討されている方は、必ず一度ウェブでマップを確認しておく必要があります。

 

不動産売買のプロが教える、ハザードマップとの付き合い方

 

「自分の住んでいる場所(買おうとしている場所)が真っ赤に色分けされていた……どうしよう」と不安になる方も多いかもしれません。

しかし、ここで大切なのは「リスクがあるからその土地がダメだ」と短絡的に決めるのではなく、「リスクを正しく知った上で、どう対策するか」を考えることです。

 

購入を検討されている方へ

ハザードマップで浸水リスクが確認されたエリアであっても、利便性が高く、どうしてもそこに住みたいというケースはあると思います。

その場合は、以下のような対策や選択肢を検討できます。

  • 敷地全体を高くする(盛土を行う)。
  • 基礎を高く設計する、あるいは1階をピロティ(駐車場)にして2階以上を居住スペースにする。
  • 火災保険の水災補償に必ず加入しておく。

売却を検討されている方へ

「ハザードマップに色がついてしまったら、家が売れなくなるのでは?」というご不安もあるでしょう。

確かに買い手側は慎重になりますが、現在の不動産取引では、ハザードマップを用いた重要事項説明が義務付けられており、情報を隠して売却することはできません。

むしろ、「ここまでのリスクがあるからこそ、このような対策をしています(あるいは、こういった避難経路があります)」と、正確な情報と対策をセットで提示することで、買い手側に誠実な印象を与え、安心して取引に進んでいただくことができます。

 

明るく朗らかな未来のために、まずはウェブで確認を

 

今回、熊本市が内水氾濫ハザードマップをウェブ公開したことは、私たちの命と財産を守るための大きな一歩です。

スマートフォンやパソコンからいつでも簡単に見ることができますので、まずはご自身のご自宅、ご実家、そして検討中の土地を検索してみてください。

 

私たち株式会社明朗は、単に不動産の売買を仲介するだけの会社ではありません。

お客様が5年後、10年後、50年後も、その土地で「明るく朗らかな未来」を歩んでいけるよう、こうした災害リスクという見えにくい部分にも徹底的に寄り添い、プロとしての正確なアドバイスをさせていただきます。

「この土地の水害リスクについて、もっと詳しく知りたい」 「マップの見方がよく分からない」 「リスクを踏まえた上での売買の進め方を相談したい」

そんなときは、いつでもお気軽に株式会社明朗の千場までご相談ください。

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