第25回【どうなる?住宅ローン控除の最新動向】
「はじめての不動産売買に 明るく朗らかな未来を」株式会社明朗の千場智樹です。
連日ニュースで話題になっている「住宅ローン減税」。
現在の期限が今年末に迫る中、与党では制度を5年間延長し、特に中古住宅に関する優遇措置を拡充する方向で議論が進んでいます。
家探しをされる皆様にとって非常に重要なこの制度について、Q&A形式でわかりやすく解説します。
目次
そもそも「住宅ローン控除」とはどのような制度ですか?
税金が還付・軽減される制度です。
住宅ローンを利用してマイホームを取得・増改築した場合に、年末のローン残高の一定割合の金額を、ご自身が払うべき所得税や住民税から差し引く(控除する)ことができる制度です。
簡単に言えば、「一旦納めすぎた税金が後から戻ってくる(還付)仕組み」と「本来払うべき税金が減る仕組み」の二つの側面があります。

所得税の控除(還付)
毎月の給与から天引きされた所得税が、年末調整や確定申告によって減額され、その差額が還付金として戻ってきます。
住民税の控除(差し引き)
所得税から控除しきれなかった残りの額が、翌年度の住民税から差し引かれます。
翌年6月以降に課税される住民税額が最初から減額された状態で通知・徴収されます。
なぜ今、住宅ローン減税の見直しが検討されているのですか?
制度期限が迫っていることと、中古住宅市場を活性化させるためです。

住宅ローン減税は特例減税であり、今年末で期限が切れるため、まず5年間延長する方向で議論されています。
また、最近は新築住宅の価格高騰を背景に、中古市場に注目が集まっています。
政府は、中古住宅を買いやすくし、中古住宅の流通を促すことで、市場全体の活性化を図るため、制度の拡充を検討しています。
中古住宅に関する「拡充案」の具体的な内容は?
借入限度額の引き上げ、控除期間の延長、床面積要件の緩和が検討されています。
1.借入限度額の引き上げ
控除される額は、(年末ローン残高または借入限度額) × 0.7% を上限とします。
現行制度(中古住宅)
3,000万円が借入限度額の上限です。
↓
検討中の拡充案
この上限を4,500万円に引き上げる方向で調整されています。
この引き上げにより、控除の対象となる借入額が増え、受けられる経済的メリットが大きくなります。

2.控除期間の延長
控除を受けられる期間についてです。
現行制度(中古住宅)
10年間と定められています。(新築は13年間)
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検討中の拡充案
この期間を13年間に延長し、新築と同様にする方向で調整されています。
期間が延長されることで、トータルでの控除額が増加し、購入負担の軽減につながります。
3.床面積要件の緩和
購入する住宅の広さの要件についてです。
現行制度(中古住宅)
床面積が50㎡以上とされています。
↓
検討中の拡充案
一人暮らし世帯などを考慮し、この要件を緩和して40㎡以上に引き下げる方針です。
この緩和により、これまで面積で対象外となっていた都心のコンパクトな物件なども、新たに減税の対象となる見込みです。
拡充が実現すると、購入者にとってどのようなメリットがありますか?
控除期間の長期化と、より多くの物件が減税対象となることです。
拡充案が実現すれば、以下の点でメリットがあります。
経済的メリットの増加
借入限度額の引き上げと控除期間の延長により、トータルで受けられる減税額が増加し、実質的な購入負担が軽減されます。
選択肢の拡大
床面積要件が40㎡に緩和されることで、これまでは対象外だった少人数世帯向けの物件やコンパクトマンションも、減税の対象となり、選択肢が広がります。

2026年度以降は、新築住宅だけでなく中古住宅も購入しやすい環境に大きく変化する見込みです。
おわりに

今回の制度改正は、中古住宅市場において、購入者の皆様の負担を大幅に軽減する大きな追い風となります。
不動産は人生で最も大きな買い物の一つです。
制度が正式に決定されましたら、いち早く最新情報を踏まえた最適な資金計画をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
今回のコラムが皆様の明るく朗らかな未来の一助となれば幸いです。