不動産コラム第18回【媒介契約の落とし穴!?】

「はじめての不動産売買に 明るく朗らかな未来を」株式会社明朗の千場智樹です。
今回は、不動産会社に売却活動を依頼する際に、必ず行う「媒介契約」についてお話をしていきたいと思います。
媒介契約とは?
不動産の媒介契約とは、不動産の所有者である売主様と不動産会社との間で結ぶ契約のことです。
宅地建物取引業法により、不動産会社が仲介業務を行う場合は、媒介契約を書面で締結することが義務付けられています。
これにより、「言った・言わない」といったトラブルを防ぎ、売主様を保護する目的があります。
媒介契約の種類
媒介契約と言っても、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。
それぞれがどのような内容であるか、ご説明いたします。
一般媒介
複数の不動産会社に売却活動を依頼したい場合、一般媒介であればその願いが叶います。
知り合いの不動産会社に売却活動をお願いしたいけれども、任せてみたいと思う別の不動産会社にもお願いしたい場合、一般媒介であれば可能です。
上記のようなメリットの背景には、もちろんデメリットも存在します。
その1つが報告・連絡です。
常に連絡を取り合う対象が1社だけであればそれほどではないのですが、同時に複数社にお願いしているのであれば、同じ内容を常に複数社と行う必要があります。
最初のうちは苦なく行えても、2ヶ月3ヶ月と続くと、その労力をデメリットと考える方は多いようです。
もう1つは、同じ物件情報がいくつもアットホーム等のポータルサイトに掲載されるということです。
多くの不動産会社が掲載しているということは、それだけ多くの会社の顧客に紹介する必要がある、つまりは「自然にはお客さんが集まりにくい物件」だと受け取られることがあります。
また、同じ物件なのに会社によって管理費、間取り、条件といった情報が微妙に異なっていることもあり、どの情報が正しいのか分からなくなり、情報そのものの信頼性が疑われることもあります。
専任媒介・専属専任媒介
一般媒介に対して専任媒介や専属専任媒介は、信頼のおける1社にだけ販売活動を依頼する方法になります。
1社にだけお願いするわけなので、常に連絡を取り合う対象は1社だけで良くなります。
また、依頼を受けた不動産会社は、レインズに情報を公開する義務がありますので、レインズを通じて多くの不動産会社の目にとまります。
1社だけに依頼をする形にはなりますが、レインズを通じて多くの不動産会社が情報を扱えますので、一般媒介のように同時に数社の不動産会社に依頼する場合と同等の情報発信力が期待できます。
一般媒介のようなデメリットはなく、一般媒介の時と同じような情報発信力が得られるのであれば専任媒介が良いように思えますが、専任媒介にもデメリットは存在します。
その1つが、依頼した不動産会社の物件広告アピール力が低い場合です。
依頼した1社だけでの広告になりますので、他社での広告によるフォローが期待できません。
もう1つは、仲介業者が媒介を勝ち取る為に、売主様からの仲介手数料をとらない場合です。
もし、「弊社に専任でお任せいただければ、仲介手数料はいただきません。」と言われたら、注意が必要です。
仲介手数料を支払わなくて良いのであれば、それはメリットであると思われるでしょうが、そこには『落とし穴』があります。
落とし穴の解説
不動産の売買仲介業者は、売主様からいただく仲介手数料と買主様からいただく仲介手数料が収入源となります。
通常、不動産会社A(売主様側)と不動産会社B(買主様側)が共同仲介をする場合には、A社は売主様から、B社は買主様から仲介手数料をいただきます。
しかし、売主様からいただかないのであれば、買主様からだけしか収入源が存在しません。
そうすると、『買主様からの仲介手数料をA社とB社で分けるか、そもそもA社がB社に情報を流さなくなってしまいます。』
結果、B社の立場になる不動産会社が買主様を連れてくる可能性が低くなってしまいます。
これは、成約の可能性の低下に直結します。
なお、専任媒介と専属専任媒介について、さほど大きな違いはありませんが、ご興味があればお問い合わせください。丁寧にその違いをご説明させていただきます。
上記の様に媒介契約は様々で、必ずどの契約が良いと決まっているわけではありません。また、どのような不動産会社に依頼をするかによっても、その後の展開は変化します。
売却活動の候補となる会社が、それぞれどのように物件情報を公開しているか、見比べてみるのも良いと思います。
このコラムが、売主様の不動産売却の一助となれば幸いです。